2026年運賃値上げで「輸送費がCOGSに」EC企業の利益圧迫へ
物流プラットフォームのShip.comは、2026年に予定される海運キャリアの運賃値上げと隠れたサーチャージ(追加料金)が、EC事業者の利益率を大きく圧迫すると警告した。同社は輸送費をもはや付随コストではなく、売上原価(COGS:Cost of Goods Sold)の中核要素として扱うべきと提言。制御不能な物流コストが収益性を破壊する前に、自動化、商業レートへのアクセス、戦略的予測により、EC事業者がマージンコントロールを取り戻すよう促している。
本記事は北米EC市場を念頭に置いているが、日本の物流実務者にも重要な示唆を含む。特に注目すべきは「輸送費のCOGS化」という概念だ。従来、配送料は販管費として扱われてきたが、EC事業の拡大により、商品原価に匹敵する重要コスト要素になりつつある。 フォワーダーにとっては、顧客企業のコスト意識がより厳格化することを意味する。単なる運賃見積もりだけでなく、サーチャージの内訳明示、運賃変動予測、コスト最適化提案など、付加価値の高いコンサルティング能力が求められる。特に2026年に向けて、キャリアの運賃政策を早期に把握し、顧客へ先回りした情報提供を行うことが競争力の源泉となる。 また、EC事業者向けには、複数キャリアの運賃比較、ルート最適化、配送オプションの自動選択など、テクノロジーを活用したソリューション提案が有効だ。2026年の運賃改定を機に、顧客との関係を「運送手配業者」から「物流戦略パートナー」へと進化させる好機と捉えるべきである。
市況データ
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Shanghai Containerized Freight Index (SCFI)
Baltic Dry Index (BDI)
Drewry World Container Index (WCI)
記事一覧
米国1月コンテナ輸入、政策不確実性の中で231万TEUへ回復
2026年1月、米国のコンテナ輸入量は231万8,722TEUとなり、12月の季節的な落ち込みから回復した。Descartesの最新レポートによると、年末商戦後の通常の低迷期から輸入量が反発したものの、新政権下での通商政策の不確実性が業界全体に影響を及ぼしている。1月の輸入量回復は春商戦に向けた在庫補充需要が背景にあるとみられるが、関税政策や貿易規制の変更可能性が荷主の輸入計画に影響を与える可能性がある。
地域別カーボン制度の乱立が海運脱炭素化を阻害、統一枠組みの必要性を警告
BAR Technologiesは、地域ごとに異なる排出量取引制度(ETS)の乱立により、海運業界が前例のないコンプライアンス圧力に直面し、脱炭素化の進展が遅れるリスクがあると警告した。同社は、統一的なグローバル・カーボン枠組みの構築に向けた早急な対応を求めている。欧州、アジア、米国などで独自の炭素規制が導入される中、船社やフォワーダーは複数制度への対応を迫られ、業務の複雑化とコスト増が懸念される。国際海事機関(IMO)主導の統一基準策定が急務となっている。
UAE新貨物セキュリティ規制、物流業界の半数が準備未完
国際物流専門家約400名を対象とした調査により、UAEが3月31日から施行する新貨物セキュリティ規制MPCI(Multilateral Pre-loading Cargo Information)への準備が物流業界の半数で遅れていることが判明した。Trade Tech社の調査は、荷主・フォワーダー・船会社など物流関係者の対応準備に重大なギャップがあることを明らかにした。中東向け貨物を扱う日本の物流事業者も、締切まで残り2ヶ月を切る中で早急な対応が求められる。
CMA CGM、欧州発インド亜大陸・中東航路に緊急運航回復課金を導入
CMA CGMは、北欧州で直面している運航上の制約を理由に、北欧州発インド亜大陸(Indian Subcontinent)、中東(Middle East)、紅海(Red Sea)向け航路に新たな緊急運航回復サーチャージ(Emergency Operational Recovery surcharge)を導入すると発表した。欧州港湾における深刻な混雑や遅延が背景にあるとみられ、追加コストが荷主に転嫁される形となる。同社はこの措置を通じて運航の安定化を図る方針だが、同航路を利用する日本の荷主やフォワーダーにとっては輸送コストの更なる上昇要因となる。