船上炭素回収、実用化へ前進

ノルウェーの船級協会DNVは、船舶のオンボード炭素回収システム(OCCS)が海運の排出削減に有効であることを示す研究結果を発表したとAJOTが報じた。OCCSは既存エンジンの排ガスから二酸化炭素を分離・貯蔵する技術で、既存船への後付けも可能とされる。DNVの研究は規制の統一化が技術普及の鍵となることを強調している。

アンモニア燃料エンジン、世界初の試験完了

スイスの舶用エンジンメーカーWinGDは2026年1月、アンモニア燃料式2ストローク船舶エンジンの型式承認試験および工場受入試験を完了したとContainer Newsが伝えた。これは世界初の商用規模アンモニア燃料エンジンの型式承認となる。アンモニアは燃焼時に二酸化炭素を排出しないゼロカーボン燃料として注目されるが、毒性と腐食性が課題とされてきた。

エタノール燃料にも新たな動き

ブラジルの鉄鉱石生産大手Valeと独海事技術企業Everllenceは、エタノール燃料エンジンの開発に関する協力協定を締結したとSplash247が報じた。ブラジルはサトウキビ由来のバイオエタノール生産で世界第2位の実績を持ち、既存の供給網を活用できる利点がある。Valeは自社が用船する鉄鉱石船への適用を視野に入れているとみられる。

技術選択の多様化が進む背景

国際海事機関(IMO)は2050年までに海運からの温室効果ガス排出実質ゼロを目指す目標を掲げており、船社は2030年代前半までに新造船の燃料選択を迫られる。炭素回収は既存インフラを活用できる一方、回収した二酸化炭素の陸揚げ・貯蔵施設の整備が課題となる。アンモニアとエタノールは燃料供給網の構築が必要だが、それぞれ異なる地域で供給基盤が存在する。

日本の海運・物流への波及

日本船社も複数の技術オプションを並行検討する動きが出ている。邦船大手3社はいずれもアンモニア燃料船の実証実験を進めており、2020年代後半の実用化を目指す。一方で日本は水素・アンモニアの輸入基地整備を国家戦略として推進しており、燃料供給網の先行整備が日本発着航路での採用を後押しする可能性がある。荷主企業はScope3排出量の開示圧力が強まる中、船社の燃料選択が物流コストと環境負荷の両面に影響することを認識する必要がある。