売主は指定仕向地で貨物を到着した輸送手段上のまま(荷卸しせずに)買主の処分に委ねる。輸入通関と荷卸しは買主負担。
売主は指定仕向地で貨物を荷卸しして引き渡す。11条件中、売主が荷卸し義務を負う唯一の条件。
費用負担比較
| 費用項目 | DAP | DPU |
|---|---|---|
| 輸出梱包 | 売主 | 売主 |
| 積地への輸送 | 売主 | 売主 |
| 輸出通関 | 売主 | 売主 |
| 船積み・引渡し | 売主 | 売主 |
| 国際輸送 | 売主 | 売主 |
| 輸送保険 | — | — |
| 荷卸し | 買主 | 売主 |
| 輸入通関 | 買主 | 買主 |
| 関税・諸税 | 買主 | 買主 |
| 仕向地への輸送 | 売主 | 売主 |
リスク移転とコスト負担
リスク: 指定仕向地で到着した輸送手段上で、荷卸しの準備ができた状態で買主の処分に委ねた時点でリスク移転
コスト: 仕向地への配送まで
リスク: 指定仕向地で貨物を輸送手段から荷卸しして買主の処分に委ねた時点でリスク移転
コスト: 仕向地への配送まで
主な違い(1項目)
- 荷卸しDAP=買主 / DPU=売主
使い分けのポイント
- 売主が仕向国に物流ネットワークを持つ場合
- 買主の通関能力がある場合(DDPほどの負担を売主が負えない時)
- Door-to-door取引で荷卸し・通関は買主が行う場合
- 売主が仕向地で荷卸し能力を持つ場合
- プロジェクト貨物で売主が据付まで一括管理する場合
- 大型設備の搬入
DAPとDPUの違いは荷卸しの有無
DAP(Delivered at Place)とDPU(Delivered at Place Unloaded)はいずれもD群の到着条件で、売主が仕向地まで貨物を届ける。両者の唯一の違いは荷卸し義務の有無にある。DAPでは売主は到着した輸送手段上のまま(荷卸しせずに)貨物を買主の処分に委ね、荷卸しは買主が行う。DPUでは売主が仕向地で荷卸しまで完了してから買主に引き渡す。DPUは11条件中、売主が荷卸し義務を負う唯一の条件である。
DPUの前身DAT(2010年版)との関係
DPUはインコタームズ2020年版でDAT(Delivered at Terminal)から名称変更された条件である。DAT時代は「ターミナル持込渡し」という名称のため、指定場所がターミナル(港湾・空港のターミナル施設)に限定されるという誤解があった。実際にはDAT時代からターミナル以外の場所も指定可能だったが、名称変更によりこの点が明確になった。DPUでは倉庫、工場、建設現場など仕向地のあらゆる場所を指定でき、売主がそこで荷卸しを行う。
選択基準 — 売主の荷卸し能力
DAPとDPUの選択は売主の荷卸し能力に依存する。売主(またはその委託先)が仕向地で荷役設備やクレーン等を確保できる場合にDPUが適している。プロジェクト貨物(大型プラント設備や建設機材等)で売主が据付・搬入まで一括管理するケースがDPUの典型的な使用場面である。一方、コンテナ貨物のように買主側の倉庫で荷卸しを行うのが自然な場合や、売主に仕向地での荷役能力がない場合はDAPが適切である。なお、いずれの条件でも輸入通関と関税は買主負担となる。