売主は自己の施設(工場・倉庫等)で貨物を買主の処分に委ねることにより引渡し義務を果たす。売主の義務が最も軽い条件。
売主は輸出通関を行い、指定された場所で買主が指名した運送人に貨物を引き渡す。全輸送モードに対応。
費用負担比較
| 費用項目 | EXW | FCA |
|---|---|---|
| 輸出梱包 | 売主 | 売主 |
| 積地への輸送 | 買主 | 売主 |
| 輸出通関 | 買主 | 売主 |
| 船積み・引渡し* | 買主 | 売主 |
| 国際輸送 | 買主 | 買主 |
| 輸送保険 | — | — |
| 荷卸し | 買主 | 買主 |
| 輸入通関 | 買主 | 買主 |
| 関税・諸税 | 買主 | 買主 |
| 仕向地への輸送 | 買主 | 買主 |
* FCA(船積み・引渡し): 指定場所が売主施設の場合は売主が車両への積込みを行う。それ以外の場所では売主の輸送手段上で荷卸しせずに引き渡す(荷卸しは買主負担)。
リスク移転とコスト負担
リスク: 売主の施設(工場・倉庫)で買主の処分に委ねた時点でリスク移転
コスト: 輸出梱包のみ
リスク: 指定場所で運送人に貨物を引き渡した時点でリスク移転。売主施設の場合は車両への積込完了時。その他の場所では売主の車両上で買主の処分に委ねた時点。
コスト: 船積み・引渡しまで
主な違い(3項目)
- 積地への輸送EXW=買主 / FCA=売主
- 輸出通関EXW=買主 / FCA=売主
- 船積み・引渡しEXW=買主 / FCA=売主
使い分けのポイント
- 国内取引での引渡し
- 買主が輸出国に拠点・通関能力を持つ場合
- 売主の物流負担を最小化したい場合
- コンテナ輸送(ICCが推奨)
- 複合一貫輸送
- 内陸のコンテナヤードでの引渡し
EXWとFCAの決定的な違い
EXW(Ex Works)は売主の義務が11条件中最も軽い条件で、自己の施設(工場・倉庫)で貨物を買主の処分に委ねるだけで引渡し義務が完了する。輸出通関も車両への積込みも売主の義務に含まれない。FCA(Free Carrier)では売主が輸出通関を行い、指定場所で運送人に貨物を引き渡す。引渡場所が売主施設であれば積込みも売主が行う。つまりEXWからFCAへ移行すると、売主に輸出通関と積込みの義務が加わる。
ICCがEXWを推奨しない理由
ICCは国際取引においてEXWの使用を推奨していない。理由は、輸出通関が形式上は買主の義務となるためである。外国の買主が輸出国の通関手続きを直接行うのは実務上困難であり、結局は売主側で通関を代行するケースが大半を占める。しかしEXW条件のままでは売主に通関義務がないため、通関手続きに起因するトラブル時の責任分担が曖昧になる。FCAであれば輸出通関が明確に売主の義務として規定されるため、実態と契約条件が整合する。
EXWが適切な場面
EXWは国内取引、または買主が輸出国に拠点・通関能力を持つ場合に適している。たとえば海外メーカーの日本法人が日本国内の倉庫から本社向けに出荷する場合、EXW条件で自社の通関ブローカーを使い輸出通関を行うことが合理的な選択となる。また、売主が物流への関与を最小限にしたい場合にもEXWが選ばれる。ただし多くの国際取引においてはFCAの方が適切であり、特にコンテナ輸送や複合輸送ではFCAの使用が標準的である。